大本の冠句
大本では教祖・出口王仁三郎(安閑坊喜楽(あんかんぼうきらく)宗匠聖師)、三代教主捕・出口日出麿が愛好。聖師は「短歌は慣れないとできにくいので短歌の第一段階」として冠沓句作りを奨励し、今日に至ります。
毎月の愛善冠沓句(年10回)に加え、2月の節分大祭には節分献灯冠沓句、11月の大本開祖大祭は全国支社冠沓句大会を開催し、全国の大本信徒からたくさん冠沓句が寄せられています。
冠句の魅力
俳句や川柳と違い、すでに最初、または最後の5文字が決まっています。それに七、五の12文字を付け加えるのですが、冠句の面白味は「間」にあります。冠題と付け句の間がどういうところで連なっているのか、同じ5文字から作者の世界が展開します。
冠題が意味するのは「何か」•••内観してくみ取った意味から作句していきます。
「冠題」と「付け句」の12文字が照応し、響き合って一編のドラマが描き出されます。
冠句の作り方
1、「五・七・五」の17文字で作る
2、季語は必要としない
3、冠題として頭の5文字が出され、この5文字に中七・下五の12文字をつけて完成させる。(冠題にすぐ接続する語はなるべく使わない)
4、切れ字は不要。(「や・かな・けり」など)
5、言葉は口語体(現代語)を用い、文語表現はしない
6、字足らず、字余りは避ける
7、同じ文字を重複しない
8、特殊な読み方(ルビつけ)は避ける。〔主一無適(まこと)、ご挨拶(こえ)など〕
注意点
●第三者に作句が理解されるよう、独りよがりの漠然とした句は慎む
●言葉遣い、表現が適当かどうか
●誤字はないか、助詞「てにをは」に間違いはないか
●交通安全や火の用心のような「標語体」は避ける
●人の欠点や非難、中傷をいれない
冠句作りの要点
冠題にすぐ浮かぶ光景は類句となりやすいので、単一的に句材を決めず、幅広い角度で多面的に捉えると、他の人とは違った句ができるでしょう。
「冠題」は、文字のイメージだけでなく、本当の意味を把握し、それに照応した12文字を付け句していきます。
作者一人一人の世界観や人生観、花鳥風月の感慨や風景、回想や身の周りの出来事などから生み出される12文字が、冠題と照応したとき、人生の喜怒哀楽がにじみ、一編のドラマとなり、風景画となります。
真実の冠句を作るために
句を推敲し、題と付け句に適当な「間」のある句を工夫します。
1、言葉は易かれ、句意は深かれ
(平易な言葉で表現しながら意味するものは深く、人の共感を得るもの)
2、1字の力を大切に
3、素直な心で付け句した句
4、読んでみて余情の残る句
5、読者に共感を与える句
作句の心得
1、心の深いところで感じ、いつまでも忘れない気持ちをうたう
2、事柄や事件の羅列にならぬよう注意し、触発されて心を揺り動かした喜怒哀楽の感情をうたう
3、平素から人生を具体的に見てゆく態度と目の前の句材をなおざりに扱わず、自分の一生の心の記録としてうたう
4、言葉の魔術や既成語に気易く飛びつかず、詠もうとする事柄、ものをしっかり捉えてうたう