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「いのちの研究会」シリーズセミナー(2月4日)

総合討論会の様子

 2月4日午後1時から、綾部市梅松苑・白梅殿を会場に、いのちの研究会主催によるシリーズセミナー第12回「現代世界の困難といのちの未来」が、オンライン参加も併用して開催された。
 はじめに、総合司会の加藤眞三氏(慶應義塾大学名誉教授・MOA高輪クリニック院長)が開会のあいさつを行った。その後、町田千里氏が舞を奉納し、会場は厳かな空気に包まれた。
 講演1では、思想作家のしんめいP氏が〝自分とか、ないから――力の時代における中道〟をテーマに演壇に立った。しんめい氏は、現代社会において「力」による対立が深まる中、自身の正当性を主張するだけでなく、「私が間違っているかもしれない」という視点を持つことの重要性を強調した。また、合気道の開祖・植芝盛平翁の言葉を引用し、対立を超えて宇宙と調和する生き方こそが、仏教でいう「中道」の実践につながると述べた。
 続いて講演2では、いのちの彫刻家の林良樹氏(小さな地球共同代表)が〝いのちの彫刻としての里山再生〟をテーマに演壇に立ち、自身の体験を語った。林氏は、千葉県鴨川市での古民家再生や棚田保全の活動を通じ、都会と地方、人と自然をつなぐコミュニティ「小さな地球」を築いてきた経緯を紹介。「特別なヒーローが世界を変えるのではなく、一人ひとりが自分の人生や暮らしを創造する『いのちの彫刻家』である」と訴え、足元からの実践が社会を変えると述べた。
 次に講演1と2を受ける形でパネルディスカッションが行われ、島薗進氏(東京大学名誉教授)、町田宗鳳氏(広島大学大学院名誉教授・ありがとう寺住職)、加藤氏が順に発言した。
 島薗氏は、宮沢賢治の思想を引き合いに出し、「宇宙全体のつながりの中に自分が生かされているという感覚(縁起)を持つことで、対立を和らげる道が見えてくる」と述べた。
 続く町田氏は、講師2名の生き方に共通する「根源的イマジネーション」を高く評価し、「現代人は頭でっかちになりがちだが、土に触れ、身体を使う労働の中にこそ、いのちの手触りや喜びがある」と、実践の重要性を説いた。
 そして加藤氏は、物事の捉え方は人それぞれ異なることを指摘し、しんめい氏の「鬼は内」の解釈を引用しつつ「『鬼は外』ではなく、自分の内側にも原因があるかもしれないと省みる姿勢(鬼は内)が、他者との真の対話を生む」と述べた。
 続いて全コメンテーターによる総合討論が行われ、自然との共生や社会の分断をテーマに議論が交わされた。害獣被害などの身近な問題を例に挙げつつ、人間中心の視点を離れ、謙虚に自然や他者と向き合うことで、無用な対立を避け、調和のとれた未来(いのちの未来)を築けるのではないかとの話に至った。
 最後に島薗氏が、「綾部という大本の歴史と祈りが刻まれた場所で、こうした精神的な深まりのある会を持てたことは大変意義深い」とあいさつを述べ、盛会のうちに閉会となった。

町田知里氏による奉納舞
加藤眞三氏
しんめいP氏
林良樹氏
島薗進氏
町田宗鳳氏